ヤフーショッピングの商品券100円が明日期限切れということで、前から気になっていた怪しげなライセンスを購入しました。
購入した「Microsoft Office Professional Plus 2021」とは、以下のような製品です。
なお購入価格は定価の約100%オフ!!
製品名 | 消費税込み価格 (Microsoft Store) | 含まれる製品 |
---|---|---|
Office Personal 2021 | 3万7700円 | Word、Excel、Outlook |
Office Home & Business 2021 | 4万3980円 | Word、Excel、PowerPoint、Outlook |
Office Professional 2021 | 7万5650円 | Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Publisher、Access |
価格は2024年4月5日現在のもの |
本記事の結論を先に書いておきます。
- ショップは確実に非正規品の販売業者であると断言できる(明確な根拠は後述)
- ボリュームライセンスでなく、MSDNR_Retail editionのライセンスを販売していた(それが何かは後に解説)
なお、非正規品の販売業者と確定したため、本ページ上に当該製品を販売するショップへのリンクは掲載していません。また、購入したライセンスの使用を中止し、念の為Cドライブを完全に初期化しました。
非正規品の利用は、使用許諾違反につながる場合がありますので十分ご注意ください。
https://www.microsoft.com/ja-jp/office/homeuse/prodinfo
購入からライセンスキー送付まで
30分から2時間以内にキーを送ると書いてあったので購入したものの、18時間待っても送られませんでした。
ショップに問い合わせると2時間くらいで返答が来て、無事ライセンスキーと認証手順の手引きが届きました。
なお、24時間以内にライセンス認証を完了させるのがおすすめとのことです。
(ライセンスキーの正体を考察した際に、急がせる理由が若干判明)
officeをインストールする
認証の前にまずはofficeのインストーラーをダウンロード。
ショップから送られてきたリンクを無邪気に信用して、x64用のインストーラーをダウンロードしました。
このリンクには途中にライセンスキーが含まれていたためか、ライセンスキーの入力は必要ありませんでした。
ライセンス認証を行う
いよいよ肝心のライセンス認証を行います。
今回はショップの指示に従いエクセルを起動してライセンス認証を始めることにします。
エクセルを起動
まず中央にポップアップする同意画面に同意しました。
インターネット経由での認証を試みる
ショップが、ライセンス認証をオンラインで行うのを推奨してるので素直に「ソフトウェアのライセンス認証をインターネット経由で行う」ことにします。
残念ながらできないようです。
というわけで戻って電話認証を試してみます。
電話で認証を試みる
「ソフトウェアのライセンス認証を電話で行う」を選択しました。
地域で「日本」を選択して表示された電話番号に電話してみました。
せっかく通話し放題の楽天モバイルを契約してるので、あえての03の方にかけました。
電話に応答するのは機械音声でした。終始人間が対応することはありませんでした。
コンピューターによる自動認証を防ぐためか分かりませんが、あらゆる返答全てを口頭で言う必要がありました。
つまり、6桁の数字9セットで構成されているインストールIDをひたすらに読み上げる必要があったということです!!!
その後、インストール台数を訊かれたので1台だと返答しました。
これはショップの指示通りの返答でもありますが、そもそも私は目の前のPCに対して今初めて購入したライセンスを使用しようとしているので当然ですね。
数秒後にはライセンスを確認できたのか、確認IDが発行されたようです。
電話を掛けた番号宛に確認IDをSMSで送付してもらい、6桁の数字8セットを手動で打ち込みました。
(なんと確認IDの入力欄にはペーストができないので!!!)
無事認証できたことを確認したら、その旨を機械音声に告げました。
すると次の瞬間電話が切断されました。Wow!
通話時間は8分20秒間でした。
なにはともあれ一連の電話によるライセンス認証を成功裡に終えたましたとさ。
めでたしめでたし
おまけ:ライセンスの正当性とかを確かめる
この怪しげなライセンスがどんなものかをざっと調査。
Windowsにインストールしたofficeのライセンスを確かめる方法
管理権限でコマンドプロンプトを立ち上げて以下をコピペしてEnter.
cd C:\Program Files\Microsoft Office\Office16
cscript ospp.vbs /dstatus
結果↓(一部を?で伏字にして載せておきます)
Microsoft (R) Windows Script Host Version 5.812
Copyright (C) Microsoft Corporation. All rights reserved.
---Processing--------------------------
---------------------------------------
PRODUCT ID: ?04??-?????-??20?-?????
SKU ID: ?????e46-????-428d-????-?????8e?????
LICENSE NAME: Office 21, Office21ProPlus2021MSDNR_Retail edition
LICENSE DESCRIPTION: Office 21, RETAIL channel
BETA EXPIRATION: 1601/01/01
LICENSE STATUS: ---LICENSED---
Last 5 characters of installed product key: ?????
---------------------------------------
---------------------------------------
---Exiting-----------------------------
結果を分析していきます。
ここで注目すべきは「LICENSE NAME」の行だけ
LICENSE NAME: Office 21, Office21ProPlus2021MSDNR_Retail edition
前半の「Office 21,Office21ProPlus」はOffice Professional Plus 2021を購入したので当然ですね。
見るべきは後半の「2021MSDNR_Retail edition」
ライセンス形態
〇〇〇R_Grace edition ・・・ 未認証状態(試用版)
https://hourousya.blog.jp/archives/27363535.html?ref=head_btn_prev&id=8407102
〇〇〇R_Retail edition ・・・ パッケージソフト(リテール版)
〇〇〇MSDNR_Retail edition ・・・ 開発者向けソフト(MSDN版)
〇〇〇VL_MAK edition ・・・ ボリュームライセンス・マルチライセンス認証キー(MAK)
〇〇〇VL_KMS_Client edtion ・・・ ボリュームライセンス・キー管理サービス(KMS)
つまり企業向けのライセンス(ボリュームライセンス)の横流しではないということです。
意外!!
MSDNは、Microsoft Developer Network(マイクロソフトデベロッパーネットワーク)の総称で、マイクロソフト開発者を支援するものであり、今回のライセンスは開発者向けのリテールライセンスだったといえます。
そしてこのライセンスを取得できるのは、おそらくVisual Studio サブスクリプションの利用者だけでしょう。
Visual Studio サブスクリプションでは、厳選された Microsoft 製品の製品版とボリューム ライセンス版をオファーしています。製品によっては、ダウンロードで製品版またはボリューム ライセンス版のみが提供されるものと、両方のバージョンが提供されるものがあります。一般的に、Windows、Windows Server、Office クライアント製品など、ライセンス認証を必要とする製品は、ダウンロードにより製品版のみが提供されます。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/visualstudio/subscriptions/product-keys
上記引用の「ダウンロードにより製品版」というのがMSDNR_Retail editionを意味していると思われます。
では何故開発者向けリテールライセンスが激安で売られているのでしょう?
当方では未検証ですが、以下のような情報がありました。
なぜMSDNのリテールライセンスが激安なのか?
75 :名無し~3.EXE:2023/08/19(土) 10:45:05.32 ID:SzHcbGqp.net
ボリュームライセンスの切り売りだとYouTubeなんかでも言っているけれども
MSDNからもらった使わないライセンスの切り売りだと思う
ライセンスの認識がリテールになっている筈だし、どうせもらった余剰分のライセンス認証なんだから
ただ同然でも商売になるんだろうよ
%WINDIR%\System32\spp\store\2.0
こいつをバックアップして置いたら再インストールやバックアップからシステムリストアしてもしてライセンス認証を求められたとしても
「ライセンス認証済み」との認識となるぞ
バックアップしていなければそれでお終いって事だよ
こんなのだから破格の値段なのですよ82 :名無し~3.EXE:2023/08/20(日) 06:11:31.23 ID:7LxRElHj.net
MAKだった場合にはキー管理者側でライセンスされているマシンの管理があるはずなので、その内のどれかをマイクロソフトのライセンスサーバー側から外して
永続じゃなく一時的なライセンス認証に利用出来るはずなんだよな
再インストールしたらもうライセンス認証が通りません
「MSDNR_Retail edition」も同じような手法を利用していると想像している
この繰り返しでわらしべ長者をやっているんじゃないかな?85 :名無し~3.EXE:2023/08/20(日) 09:08:27.84 ID:UdSKjPob.netだから、MAKやMSDNRのキー所有者だと一時(いっとき)だけのライセンス認証が可能となるんだな
https://toro.2ch.sc/test/read.cgi/win/1663981865/
こんなのだとヤフオクなんかでの説明には3日以内にライセンス認証をして下さいと書いてあるよな
officeに関するMSDNのリテールライセンスについてのこれ以上の情報にはたどり着けませんでしたので、この辺でお開きとします。
Microsoft公式いわく
最後にMicrosoft公式の書いた非正規品の見分け方を一部抜粋します。
非正規品の見分け方
非正規品 Office によく見られる特徴としては、以下のようなものがあります。極端に安い価格で販売されている場合は、特にご注意ください。これらの商品をご購入されたお客様から、インストールができない、認証して利用できないというお問い合わせが増えています。また、悪質な業者による販売が多く、個人情報提供などのやり取りにおいてもお客様にリスクがあります。非正規品の利用は、使用許諾違反につながる場合がありますので十分ご注意ください。
1. Office Professional Plus や Office 365 を販売している
Office Professional Plus は、企業向けの商品で一般消費者向けには販売されていません。
https://www.microsoft.com/ja-jp/office/homeuse/prodinfo
はい。先にこれを知っていれば買って検証するまでもありませんでしたね。
「Microsoft Office Professional Plus 2021」を一般向けにヤフーショッピングで販売している店舗は、価格がどうあれ非正規品の販売業者で確定です。
まとめ
- ヤフーショッピングで買った「Microsoft Office Professional Plus 2021」は約100%オフ価格
- 電話認証に成功した
- 電話認証はだいぶ面倒(8分ちょいかかった)
- MSDN(開発者向け)のリテールライセンスだった
- ショップは確実に非正規品の販売業者である
非正規品の利用は、使用許諾違反につながる場合がありますので十分ご注意ください。
https://www.microsoft.com/ja-jp/office/homeuse/prodinfo
と、いうわけでライセンス認証には成功したものの、結局利用しないことにしました。
この後、念のためOSごと真っ新にしたうえで自前のMicrosoft 365でライセンス認証し直したとさ。
皆様も非正規品の販売業者にはお気を付けください。