傾物語を「傾」の漢字から化物語との関連性を踏まえて考察

二次元

「傾」という漢字を分解し、どれだけの意味がこの1字に詰め込まれているのかを辿ります。

また、「傾物語とは化物語と対比された物語である」という仮説が妥当なものであるかどうかを漢字の成り立ちや部首などから検証・考察したものです。

ちゃんと自分で買って読んだ証拠を挙げときます。

「傾」の漢字を分解する

パターン1:「傾」=「化+頁」と分解

まず、「傾」とは「化+頁」と捉えることができます。

「頁」の表すもの

「頁」とは、「うなじ。書物の紙面の片方。」を指す漢字です。大貝おおがい」という漢字の偏でもあります。

「うなじ」とは

ここで、「うなじ」とは「首の後ろ」であり、すなわち吸血鬼によって吸血された跡が残る部位であります。転じて、吸血鬼化したことを示すと捉えることができます。

「書物の紙面の片方」の意味

また、「 書物の紙面の片方 」について、「書物」とは「世界を紡ぎ記したもの」であり、その片面とはパラレルワールド、「あり得た世界線」を表すものといえます。

「大貝」としての「頁」

「頁」は、俗字で「蝢」(虫へんに頁)と書くこともあります。

「虫」であり、「貝」すなわち「堅い殻」をもつ生き物には、「蝸牛」があります。

一方、「頁」は「大貝」であり、大きい殻を持つ貝でもあります。

上記2つを統合すると、「頁」とは「大きい蝸牛」すなわち「八九寺真宵」を表すものであるといえます。

傾物語

発展させて、「頁」とは「大きくなった蝸牛」すなわち「転移先にいる成長した八九寺真宵」を表すものであるとも考えられます。

傾物語

そう考えると、タイトルの1文字目ですでに八九寺真宵の成長した姿が別の世界で見られることを示唆していたことになります。どえらい漢字の使い方ですよ!!

パターン2:「傾」=「亻(人偏)にんべん」+「項」と分解

「傾」とは「亻(人偏)にんべん+項」と捉えることもできます。

「人偏」のついた「項」の表すもの

「項」とは、「うなじ。首の後ろ。」を表す漢字です。先ほど同様に、 首の後ろとは、すなわち吸血鬼によって吸血された跡が残る部位であり、吸血鬼化したことを示すと捉えることができます。

そこに「ヒト」を表す「人偏」がついたことで、「ヒトが皆吸血鬼化した」ということが示されているのだと考えられます。

これもまた、忍野忍による転移&改変によって変わった世界の状況を的確に表していると言えるでしょう。

西尾維新は一体いくつの意味をタイトルの3文字だけに込めたんでしょうね。。。戦慄ですよ。

パターン3:「傾」=「亻」+「頃」

「傾」とはにんべん+頃」でもあります。

「人偏」のついた「頃」の意味

「頃」は「しばらく」という読み方があります。そして、「頃く」とは「少しの時間。わずかな時間。頭をかたむけるほどの短時間の意。」を持ちます。

一方、同じ「しばらく」という読み方の単語「暫く」は、「やや長い時間を隔てているさま。」を表します。

これらを統合すると、「傾」という字は、「人偏(=阿良々木さんらの元も世界の人々)」にとっては「わずかな時間」のうちに、「人偏(=阿良々木さんと忍野忍)」は「やや長い時間」を移動先の世界で過ごしたことを表しているといえます。

阿良々木暦と忍野忍はどちらもヒトではないものの、どちら半分人間ではあるので、「人」の漢字が半分の大きさに圧縮されてしまった「亻(人偏)にんべん」 が彼らを表すのはむしろ自然とまで言えるでしょう。

「傾物語」と「化物語」との関連性

原点「化物語」において、阿良々木暦は怪異の王たるキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードを助けるという、世界を危険にさらす存在を助けました。

それは、怪異の王という「1人」と、その存在が居ないことで安寧を享受する「世界」を天秤にかけ、その一方である「1人」を選ぶという選択をしたと言い換えられます。

一方で「傾物語」では、「世界」と、八九寺真宵という「1人」の両方を救いました。

これは、阿良々木暦の成長を示唆したものであり、シリーズが不可逆的に進み続けることを象徴するエピソードでしょう。

以上!傾物語の考察でした。

物語シリーズは漢字遊びや言葉遊びがたくさんあって実に読み応えがありますね。

皆さんも是非考察をしてみてください!!

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