Stable Diffusion WebUI(AUTOMATIC1111)の全20種類のサンブラーで5〜150steps,サンプラー以外の条件を同一にした複雑な画像を生成することで、各サンプラー(sampler)がstepごとにどの程度書き込まれるのか検証しました。
追記:「UniPC」という新サンプラーが登場したので、検証対象を全20種類に変更。
- 1,検証条件
- 2,検証結果 サンプラー別のstepごとの画像
- Euler a サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- Euler サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- LMS サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- Heun サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM2 サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM2 a サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM++ 2S a サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM++ 2M サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM++ SDE サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM fast サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM adaptive サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- LMS Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM2 Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM2 a Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM++ 2S a Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM++ 2M Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DPM++ SDE Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- DDIMサンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- PLMSサンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- UniPCサンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化
- 結論まとめ どのサンプラーがおすすめ?
- このサイトのAI関連記事一覧
1,検証条件
検証対象となったサンプラー
Euler a,Euler,LMS,Heun,DPM2,DPM2 a,DPM++ 2S a,DPM++ 2M,DPM++ SDE,DPM fast,DPM adaptive,LMS Karras,DPM2 Karras,DPM2 a Karras,DPM++ 2S a Karras,DPM++ 2M Karras,DPM++ SDE Karras,DDIM,PLMS,UniPC
今回はこれら20のサンプラーを対象にします。記事制作時点での全サンプラーです。
各サンプラーごとに、Steps別の画像を生成して、書き込み量の変化などから収束の早さ、絵柄のブレやすさを検証していきます。
生成時の設定
生成時パラメータ
- hiten_1, (masterpiece:1.15763), best quality, illustration,(beautiful detailed girl:1.05), beautiful detailed glow,detailed ice,beautiful detailed water,(beautiful detailed eyes:1.05), expressionless,beautiful detailed white gloves, (floating palaces:1.2:1.05), azure hair,disheveled hair,long bangs, hairs between eyes, (skyblue dress:1.05), black ribbon,white bowties,midriff,(half closed eyes:1.15763), big forhead,blank stare,flower,large top sleeves,(ice crystal texture wings:1.15763), (Iridescence and rainbow hair:2.5:1.47746), (detailed cute anime face:1.3401), (loli:1.1025), (watercolor_:1.27628), (medium:1.05), (masterpiece:1.15763),
- Negative prompt: (ugly:1.15763), (duplicate:1.15763), (morbid:1.1025), (mutilated:1.1025), (tranny:1.15763), mutated hands,(poorly drawn hands:1.15763), blurry,(bad anatomy:1.1025), (bad proportions:1.15763), extra limbs,cloned face,(disfigured:1.15763), (more than 2 nipples:1.15763), (missing arms:1.21551), (extra legs:1.15763), mutated hands,(fused fingers:1.27628), (too many fingers:1.27628), (unclear eyes:1.15763), lowers,bad anatomy,bad hands,text,error,missing fingers,extra digit,fewer digits,cropped,worst quality,low quality,normal quality,jpeg artifacts,signature,watermark,username,blurry,bad
- Steps: ここを変更,
- Sampler: ここも変更,
- CFG scale: 5.5,
- Seed: 20221219,
- Size: 768×512,
- Model hash: 19810fe6,
- Model: berrymix,
- Clip skip: 2,
- ENSD: 31337
サンプラーごとに以下のステップを試します。
5,10,15,20,40,60,80,100,150
各種パラメータの意図
元素法典特有の長大なプロンプトを用いることで描写がブレにくくして、収束状態を見分けやすくしています。
また、生成サイズを512×768という一般的に多く用いるサイズにすることで、本検証の実用性を上げています。
CFG Scaleに関しては小さめにすることでAIに出力の自由度をもたせ、サンプラーによる生成の違いをわかりやすくする意図があります。
なお、この「berrymix」というモデルはマージして制作したもので、やり方やレシピはこちらをご覧ください。
2,検証結果 サンプラー別のstepごとの画像
X/Y Plot画像をそのままお載せできるのが一番ですが、残念ながらブログの画像ファイルは自動的に長辺1200px以下に圧縮されるため、サイズ制限を回避できる大きさに分割しました。
もしXY画像をそのまま載せたら120MB 程度となるため残念ながら当然の処置です。

この通り圧縮されてわけわかめです。
分割の際上下が若干見切れていたり、真下の画像に入り込んだりしていますが、気にしないでもらえると助かります。。。
もし120MBのファイルを閲覧できる環境にいるなら、「sampler-steps-xyplot.pdf(←約120MB注意!!!)」をクリックして閲覧してください。(スマホやタブレットでは大きすぎて閲覧に失敗します。)
PNGだと圧縮されるので無劣化PDF化しました。
※アプデで追加された「UniPC」は上記ファイルには含まれていません。
Euler a サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:Euler a
- そこそこの出来栄え:40steps以上
- stepsを増やすほどに:書き込みが増える
- 書き込みの上限≒収束steps:不明
- 極端な高いステップ:絵柄が変化する
Euler サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:Euler
- そこそこの出来栄え:15steps以上
- stepsを増やすほどに:書き込みがあまり増えない
- 書き込みの上限≒収束steps:不明
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化する
LMS サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:LMS
- そこそこの出来栄え:20steps以上
- stepsを増やすほど:書き込みがあまり増えない
- 書き込みの上限≒収束steps:おそらく60steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
Heun サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:Heun
- そこそこの出来栄え:20steps以上
- stepsを増やすほどに:書き込みがあまり増えない
- 書き込みの上限≒収束steps:40steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
DPM2 サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM2
- そこそこの出来栄え:15steps以上
- stepsを増やすほどに:書き込みがあまり増えない
- 書き込みの上限≒収束steps:40steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
DPM2 a サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM2 a
- そこそこの出来栄え:15steps以上
- stepsを増やすほどに:書き込みが増える
- 書き込みの上限≒収束steps:不明
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化する
DPM++ 2S a サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM++ 2S a
- そこそこの出来栄え:10steps以上
- stepsを増やすほどに:書き込みが増える
- 書き込みの上限≒収束steps:不明
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化する
DPM++ 2M サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM++ 2M
- そこそこの出来栄え:15steps以上
- stepsを増やすほどに:書き込みはあまり増えない
- 書き込みの上限≒収束steps:60steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
DPM++ SDE サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM++ SDE
- そこそこの出来栄え:10steps以上
- stepsを増やすほどに:書き込みが増える
- 書き込みの上限≒収束steps:80steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
DPM fast サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM fast
- そこそこの出来栄え:60steps以上
- stepsを増やすほどに:書き込みが増える
- 書き込みの上限≒収束steps:不明
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化する
どこがfastやねん!
DPM2 fastは全然ファストではない!!!
DPM adaptive サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM adaptive
- そこそこの出来栄え:steps無関係
- stepsを増やすほどに:書き込みは変わらない
- 書き込みの上限≒収束steps:stepsに無関係
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
DPM2 adaptiveはstepsを増やしても変化がない特殊サンプラーです。
Steps数を無視して収束された完成形を出力するという特徴があります。
そのため、ステップを変えてもイラストに一切変化はありません。
LMS Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:LMS Karras
- そこそこの出来栄え:10steps
- stepsを増やすほどに:増やしすぎると壊れる
- 書き込みの上限≒収束steps:60steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄がイカレる
ステップ数が過剰だとイカれるサンプラーがあったんですねぇ
DPM2 Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM2 Karras
- そこそこの出来栄え:10steps無関係
- stepsを増やすほどに:書き込みはあまり変わらない
- 書き込みの上限≒収束steps:60steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
DPM2 a Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM2 a Karras
- そこそこの出来栄え:40steps無関係
- stepsを増やすほどに:書き込みはどんどん変わる
- 書き込みの上限≒収束steps:不明
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化した
末尾aのサンプラーはステップごとに絵柄が変化する特徴がありますが、ここまで大胆なのは珍しいですね。
ガチャが楽しめる分プロンプト研究には不向きですね。
DPM++ 2S a Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM++ 2S a Karras
- そこそこの出来栄え:10steps
- stepsを増やすほどに:書き込みはどんどん変わる
- 書き込みの上限≒収束steps:不明
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化する
DPM++ 2M Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM++ 2M Karras
- そこそこの出来栄え:10steps
- stepsを増やすほどに:書き込みはあまり変わらない
- 書き込みの上限≒収束steps:40steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄がわずかに変化
DPM++ SDE Karras サンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DPM++ SDE Karras
- そこそこの出来栄え:10steps
- stepsを増やすほどに:書き込みはあまり変わらない
- 書き込みの上限≒収束steps:40steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
5stepsで構図だけでも正確に出力しつつ、早期に収束するこれ良いですね!
DDIMサンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:DDIM
- そこそこの出来栄え:10steps
- stepsを増やすほどに:書き込みはあまり変わらない
- 書き込みの上限≒収束steps:100steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
1ステップ所要時間を検証した際もおすすめとして上がったDDIM、実に優秀ですね!!
PLMSサンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:PLMS
- そこそこの出来栄え:20steps
- stepsを増やすほどに:書き込みはあまり変わらない
- 書き込みの上限≒収束steps:60steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
UniPCサンプラーのsteps数ごとの出力画像の変化









- サンプラー名:UniPC
- そこそこの出来栄え:10steps
- stepsを増やすほどに:書き込みはあまり変わらない
- 書き込みの上限≒収束steps:60steps
- 極端な高ステップ(150steps):絵柄が変化しない
結論まとめ どのサンプラーがおすすめ?
表にまとめてみる
- 構図が決まるステップ
- 呪文の試行錯誤に使える程度のそこそこの出来栄え
- 外部公開に足る完成度の収束ステップ
- 備考(メモ書き程度の注意点や所感)
- 総合的評価
これらをまとめました。
サンプラー名 | 構図決定 | そこそこの出来栄え | 収束 | 備考 | おすすめ度 (5が最高) |
Euler a | 5 | 40 | 不明 | 絵柄がステップによりバラける | 2 |
Euler | 10 | 15 | 不明 | 3 | |
LMS | 15 | 20 | 60 | 3 | |
Heun | 15 | 20 | 40 | 3 | |
DPM2 | 15 | 15 | 40 | 4 | |
DPM2 a | 15 | 15 | 不明 | 絵柄がステップにより激しくバラける | 2 |
DPM++ 2S a | 10 | 10 | 不明 | 絵柄がステップにより激しくバラける | 2 |
DPM++ 2M | 15 | 15 | 60 | 3 | |
DPM++ SDE | 10 | 10 | 80 | 40ステップだけ構図が違う | 2 |
DPM fast | 20 | 60 | 不明 | fastという名に騙されるな | 1 |
DPM adaptive | 例外 | 例外 | 例外 | これはSteps数を無視して収束された完成形を出力するやつ | 1 |
LMS Karras | 10 | 10 | 60 | 80ステップ以上でイカれる | 2 |
DPM2 Karras | 5 | 10 | 60 | 3 | |
DPM2 a Karras | 10 | 40 | 不明 | 絵柄がステップにより激しくバラける | 2 |
DPM++ 2S a Karras | 10 | 10 | 不明 | 絵柄がステップにより激しくバラける | 2 |
DPM++ 2M Karras | 10 | 10 | 40 | 4 | |
DPM++ SDE Karras | 5 | 10 | 40 | 絵柄がバラけにくく構図決定が最速 | 5 |
DDIM | 10 | 10 | 100 | 3 | |
PLMS | 10 | 20 | 60 | 3 | |
UniPC | 10 | 10 | 60 | 2023/3/11に追加された | 4 |
用途に応じた最適サンプラーの結論
構図決定用のおすすめサンプラー
呪文にあった構図が出力できているかを確かめる際に最適なサンプラーは、
「DPM++ SDE Karras」です。

僅か5stepsで収束した絵柄(40steps)にかなり近い構図を出力します。

また、ステップ数を重ねても絵柄がバラけにくく収束が早いという優れた特徴があります。
呪文研究用(そこそこの出来栄え)におすすめサンプラー
キャラの表情や服装、背景など基本的な呪文構成が正しいかを出力しながら確かめる際におすすめのサンプラーは、
「DPM++ 2M Karras」と「DPM++ SDE Karras」です。


どちらも、そこそこの出来栄えになるまでのステップ数が僅か10stepsと手軽なうえに、ステップ数による絵柄のバラつきが小さいです。
完成形用:収束が最も早いおすすめサンプラー
外部公開などを行うに足るクオリティにするため、収束するまで細部を書き込む場合は、収束が早いサンプラーがおすすめです。
今回の検証では、最短が40stepsでした。
40stepsが収束stepsなサンプラーは以下の4つです。
- Heun
- DPM2
- DPM++ 2M Karras
- DPM++ SDE Karras
どれもステップ数による絵柄のバラつきが少ないサンプラーです。




特に優劣がないので、好きな絵柄を出すサンプラーを選んで下さい。
もし最強のサンプラーを1つ決めろと言われたら…
個人的には、構図確認・そこそこ品質・収束の全てでおすすめできるサンプラー
「DPM++ SDE Karras」を最強として推します。
今回の検証を経て、
ぶっちゃけ用途ごとにサンプラーを切り替えるなんて面倒だし、常にDPM++ SDE Karrasを使って生成するのが良いと思いましたね、はい。
というわけでDPM++ SDE Karras超おすすめです。
最後に、今回検証に使ったXY Plot画像の無劣化版「sampler-steps-xyplot.pdf(←約120MB注意!!!)」も一応置いておきます。
(スマホやタブレットでは大きすぎて閲覧に失敗します。)
PNGだと圧縮されるので無劣化変換でPDF化しました。
※アプデで追加された「UniPC」は上記ファイルには含まれていません。
通信容量に気をつけてください。。。
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